ペット関連商品やサービスに獣医師の力を

ペットマーケティングの主軸「医療」分野に注目

ペットマーケティングに欠かせない6つの視点

私がこれまでペットビジネスに携わってきた中で、企画やコンテンツの編集を行う際にベースとしてきた考え方があります。それが「医・食・住・育・遊・生」という6つの視点です。

これは私自身が長年ペットビジネスに関わる中でつねに思考の整理に活用している、ペットとの暮らしに必要な要素を整理した枠組みです。

その中でも、いま特に注目されているのが「医=医療・ヘルスケア」の領域。ペットの高齢化や飼い主の健康意識の高まりを背景に、日々のケアや予防に対する関心がぐっと高まっています。

今回はこの「医」の分野にスポットを当てて、市場の動きや飼い主の気持ちをふまえた、やさしくてリアルなマーケティングのヒントをお届けします。

ペットの医療・ヘルスケア市場が急成長する背景

近年、ペット医療市場は拡大の一途をたどっています。その背景には、ペットの「家族化」とペットの高齢化が密接に関係しています。平均寿命の延びにより、ペットも高齢期に突入し、定期的な健康チェックや慢性疾患への対応など、日常的なケアへのニーズが高まっています。

また、飼い主自身の健康意識の高まりが、ペットへのケア意識にも波及しており、「自分と同じように、愛犬・愛猫にも健康でいてほしい」という心理が、医療・ヘルスケア市場の成長を後押ししています。

飼い主が「医療」の分野で抱える課題

飼い主が「医」の分野で抱える悩みは、実はペットを迎えたその日から始まり、年齢やライフステージを問わず長く付きまとうものです。

たとえば、

  • どんなご飯をあげればいいのか?
  • お散歩に行けなかった日は健康への影響があるのか?
  • 子犬・子猫の育て方は?
  • シニアになったらどんなケアが必要?

さらに、病気にさせたくないという思いから、予防に取り組みたいという気持ちはあっても、どこから手をつけていいかわからないという声も多く聞かれます。

情報自体はあふれているのに、「何が正しいのか」「どれが自分の子に合っているのか」がわからず迷ってしまう——そんな選択の難しさも、飼い主が直面するリアルな課題です。

こうした悩みに向き合いながらも、多くの飼い主は積極的にケアをしたいと考えており、特に以下のような分野に関心が高まっています。

  • 定期健診サービス(動物病院)
  • 予防医療関連商品(ノミ・ダニ対策、歯のケア、目のケアなど)
  • サプリメントや特定機能性フード(関節、皮膚、免疫系サポートなど)

ペットの医療分野におけるマーケティング戦略のポイント

医療・ヘルスケア分野の商品やサービスを訴求する上で鍵となるのは、「信頼」と「納得感」です。飼い主は、“うちの子”にとって最善の選択をしたいという気持ちが強く、以下のような情報提供が重要になります。

1. 専門家の監修・推薦の可視化

  • 獣医師や動物栄養士による監修表示
  • 推奨コメントや使用体験の明示

2. 根拠あるデータの提示

  • 成分や効果に関するエビデンスの提示
  • 他製品との比較や利用者アンケートなど

3. ストーリーのある商品設計

  • 商品開発背景に“飼い主のリアルな悩み”が込められている
  • SNSで共感を呼ぶエモーショナルな設計

ヘルスケア関連商品の市場動向

実際に、以下のような商品カテゴリが注目されています。

  • サプリメント:皮膚、関節、腸内環境などをサポートする機能別製品が人気
  • ケアグッズ:目薬、歯ブラシ、口腔スプレーなどのデイリーケア用品
  • ウェアラブル端末:活動量や体温をモニタリングできるヘルステック商品

いずれの商品も、価格競争よりも「専門性」と「安心感」を軸に訴求することで、一定の支持を集めています。

実際、弊社に寄せられる「獣医師監修」のご相談の多くも医療系が中心です。たとえば、犬の腸内環境をサポートするサプリメントやフード、ペットの体に害がなく直接噴霧できる消臭スプレー、さらには食べるだけで口腔ケアができるふりかけなど、多様なニーズに応える商品開発が進んでいます。

これらはすべて、飼い主の「健康で長生きしてほしい」「でも買うなら信頼できる商品を選びたい」という気持ちに丁寧に寄り添った企画であり、実際にその信頼感が購入の決め手となっているケースも多く見られます。

ペットの医療領域は信頼構築と情報設計がカギ

ペット医療・ヘルスケア分野は、単なる商品の提供だけでなく、“飼い主の不安を取り除く”ことが最大の役割です。だからこそ、信頼できる情報設計、専門家の視点、そして“うちの子のために”という飼い主心理に寄り添ったマーケティングが求められます。

「医」は、「医・食・住・育・遊・生」の6つの視点の中でも、特に飼い主の悩みが顕在化しやすく、ニーズが高まっている分野。ペットビジネスにおいて「医」に関わる商品やサービスを展開するのであれば、飼い主の安心感をいかに設計するか、専門家とどう連携するかといった要素が成功の鍵となります。

【記事執筆】

株式会社101 代表取締役 CEO

小川 類 / Rui Ogawa

2006年、株式会社ONE BRANDを立ち上げ取締役に就任。「犬と暮らすライフスタイルマガジンONE BRAND」を創刊、2年で発行部数10万部に。10年間編集長として携わりつつ犬の飼い主向けイベントやペットビジネスのコンサルティング、ユーザーマーケティングを行う。 2018年、ONE BRAND取締役を退任後、フリーランスとしてベンチャー企業のスタートアップ広報やペット向けWebメディアの立ち上げ、編集長としてメディア運営を行う傍ら、多くのペット関連企業の販促施策やマーケティングを企画実施する。事業規模の拡大に伴い2022年に株式会社101を創業。

株式会社101ではペットビジネス支援を行なっており、その一環として獣医師による商品監修サービス『獣医師監修ナビ』を運営している。

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