ペット関連商品やサービスに獣医師の力を

ペットビジネスは本当に儲かるのか?──成功企業に共通する“3つの思考法”

ペット市場は拡大を続けていますが、“儲かる”と“続く”は別の話です。
成長市場で結果を出す企業には、共通する思考のパターンがあります。
本記事では、ペットビジネスで長く信頼されるための3つの視点を解説します。

1.飼い主の課題を“生活者視点”で捉える

ペットビジネスの本質は、「動物のためのビジネス」ではなく、「飼い主の生活を支えるビジネス」です。
市場を見渡すと、成功している企業の多くが“ペット”そのものではなく、“飼い主”を中心に考えています。

ペットを迎える家庭の背景は、実にさまざまです。
共働き世帯や高齢世帯、単身世帯など、ライフスタイルが多様化する中で、求められる価値も変化しています。
ゆえに“かわいさを楽しむグッズ”だけではなく、“暮らしを支える機能”が選ばれる時代に入ったと言えます。

たとえば、

  • 共働き家庭の「留守番中の不安」を軽減するスマートカメラや自動給餌機
  • 高齢飼い主の体力的負担を減らす軽量ケア用品やペットシッター代行
  • 災害時にも安心できる防災対応グッズや避難支援サービス

これらはいずれも、“生活の困りごと”を出発点にした発想です。
単に「ペットに良いもの」を作るのではなく、人と動物がどう共に快適に生きるかという“生活設計”の視点を持つことが重要です。

ペット商材やサービスの提供者がこの「生活者目線」を持てると、マーケティングの質も変わります。
購買データや口コミだけでなく、飼い主の行動・感情の背景を理解することが、企画の精度を高めるのです。

成功している商品やサービスは、生活者インサイトを丁寧に観察し、
“商品の提供”から“一緒に暮らす体験のサポート”へと軸をシフトしています。
この発想の転換こそ、成長するペットビジネスの出発点です。

2. 専門家と協働し、「根拠のある安心」を届ける

ペットビジネスは、“命を扱う”という点で特別な責任を伴います。
だからこそ、消費者(飼い主さん)は“かわいい”や“便利”よりも、「信頼できる根拠」を求めています。

ここでカギになるのが、専門家との協働です。
栄養学・行動学・動物医療などの専門家の知見を取り入れることは、
単なる品質保証ではなく、ブランドの「信頼基盤」を築く行為にほかなりません。

成功している商品やサービスは、次のような取り組みを進めています。

  • 専門家と共同でフードやサプリを開発し、エビデンスを明示する
  • 動物行動学の専門家と協働してストレス軽減グッズを設計する
  • 専門家の監修コメントやインタビューを公式サイト・SNSで発信し、情報の透明性を高める

このように、知識とデータの裏付けを伴う商品設計は、顧客の信頼を一気に引き上げます。
とくに健康・安全・ケア分野では、“専門性の差”がそのまま“選ばれる理由”になります。

さらに、専門家の起用は「内部の学び」ももたらします。
社員教育や顧客対応の中で正しい知識が共有されることで、
企業全体の情報発信やサービスクオリティが底上げされるのです。

現代の消費者は、「この会社はどんな姿勢で商品を作っているのか」を見ています。
専門家と共に誠実な情報を発信し続ける企業は、単なる“販売者”ではなく、
“信頼のパートナー”として選ばれていくのです。

3. “単発の売上”ではなく、“信頼の積み上げ”を設計する

ペット業界の特徴は、リピート性の高さにあります。
フード、医療、ケア、保険、トレーニング──いずれも継続的な利用が前提です。
そのため、短期的な売上よりも、長期的な信頼残高の構築が欠かせません。

実際、価格競争に走る企業は短命に終わることが多い一方で、
顧客との関係を丁寧に築く企業は、安定的に成長を続けています。

信頼を積み上げるための要素には、いくつかの共通点があります。

  • 購入後のフォロー体制を整え、トラブル時に迅速に対応する
  • 正確で誠実な情報発信を行い、顧客とのコミュニケーションを継続する
  • 専門家・飼い主コミュニティとの連携を深め、共感を育てる

また、リピートの仕組みを持つ企業ほど「データを信頼の証」に変えています。
定期購入者の傾向分析や顧客の声を蓄積し、
商品開発やサポート改善につなげることで、“信頼の見える化”が進みます。

ペットと人との関係は、長期にわたって続くものです。
その時間の中で、企業がどれだけ“誠実に伴走できるか”が最大の差となります。

“儲けるため”ではなく、“選ばれ続けるため”に何を設計するか。
この問いへの答えが、企業の持続力を決めるのです。

<h2>「儲かる」は目的ではなく、結果である</h2>

ペットビジネスは、感情と責任が共存する繊細な産業です。
ここでは「一時的な売上」ではなく、「信頼の積み上げ」こそが最も価値ある成果になります。

成功企業が共通して大切にしているのは、次の3つ。

① 飼い主の生活を丁寧に見つめる
② 専門家と協働し、根拠ある安心を届ける
③ 信頼を積み上げ、継続的な関係を育てる

“儲かる”とは、顧客と社会からの信頼が結果として返ってくる状態です。
誠実に、確実に、信頼を積み上げていくことが、結局は最も持続的な利益につながります。

成長市場の波に乗るのではなく、“信頼の文化”を築くこと
それが、ペット業界で生き残り、未来を形づくる企業の条件です。

【記事執筆】

株式会社101 代表取締役 CEO

小川 類 / Rui Ogawa

2006年、株式会社ONE BRANDを立ち上げ取締役に就任。「犬と暮らすライフスタイルマガジンONE BRAND」を創刊、2年で発行部数10万部に。10年間編集長として携わりつつ犬の飼い主向けイベントやペットビジネスのコンサルティング、ユーザーマーケティングを行う。 2018年、ONE BRAND取締役を退任後、フリーランスとしてベンチャー企業のスタートアップ広報やペット向けWebメディアの立ち上げ、編集長としてメディア運営を行う傍ら、多くのペット関連企業の販促施策やマーケティングを企画実施する。事業規模の拡大に伴い2022年に株式会社101を創業。

株式会社101ではペットビジネス支援を行なっており、その一環として獣医師による商品監修サービス『獣医師監修ナビ』を運営している。

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